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#14 太田市内散策(3)太田市南部、沢野地区へ 〜利根川左岸、初夏の風わたる〜 コロナ渦の現況を鑑み、地元太田市を中心とした地域を見つめるフィールドワークの3回目は、太田市の南部、沢野地区を進みます。沢野行政センターから捕捉を始め、この地域の交通上の動脈となっている国道407号方面へと進みます。県立がんセンターの東側から、現在は東西南北そして寿町の5つの町に分かれている高林地区を歩きます。国道や県道沿いには多くの商業集積がある同地区も、幹線道路を一歩外れますと畑地や雑木林も広く存在していて、初夏へ向かう季節、新緑が鮮やかに青空に映えていました。地域の鎮守である高林神社や、1180(治承4)年開基と伝わる長勝寺なども佇みます。
沢野地区は1889(明治22)年の市町村制施行に伴い発足した旧沢野村の名に由来する地域名称です。牛沢や富沢、米沢といった地域が古来より「沢野の里」と言い習わされてきたことが村名に採られた言われであることが、明治期の記録に認められるようです。台地の上を緩やかに削る形となっている八瀬川の流れを超えて、クリーンセンターや南ふれあいセンターのある一角へ。国道407号沿いを歩いて、利根川の左岸に近い古戸町方面へ歩きます。国道に面した古戸長良神社をはじめ、豊かな屋敷林を伴った集落や泉福寺といった農村的な風景が広がる一帯は、国道を通過する限りは認めることのできない、とてもうららかな景観であるように感じられました。 刀水橋上から雄大な利根川の流れを俯瞰した後は、菜の花が咲き乱れる河川敷へ。そのまま堤防を辿りながら、利根川に流れ込む石田川の堤防上の小道へと進みました。このルートもたくさんの菜の花に包まれていまして、屈託のない青空の下、輝かしい晩春の景色は極上のしなやかさに満ちていました。再び畑地の卓越する高林地区ののびやかな展望の中を歩いて行きます。八瀬川の合流点あたりから石田川と別れ、高林寺の南を西へと進みますと、牛沢団地へと至ります。利根川左岸の雑木林に農地が点在する原風景を持つ高林地区とは対照的に、牛沢町やその北の富沢町、福沢町あたりまではまとまった集落があった場所でした。西を流れる蛇川に寄り添うような集落は古い門構えの旧家も存在していて、昔ながらの佇まいを備えていました。
牛沢町からは、かつての国道354号のルートである県道を東へとって返し、フィールドワークのスタート地点である沢野行政センターへと戻りました。途中には県指定史跡である朝子塚古墳があります。4世紀末から5世紀初頭頃に築造されたと推定される前方後円墳は、豊かな緑を携えていまして、古来から続く地域の長い歴史を今に伝えています。古墳の北側には広大な水田が広がっていて、晩春のこの季節は、裏作の小麦が青々とした穂を微風に揺らしていました。 |
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