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きらめきの上州譜

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#17 太田市内散策(6)韮川から休泊へ 〜国道122号沿線から東方の風景〜

 コロナ渦の現況を鑑み、地元太田市を中心とした地域を見つめるフィールドワークの6回目は、太田市東部を貫通する国道122合に沿って、韮川地区から休泊地区へと進みます。国道122号は、太田市北部をかすめる国道50号から南東へ、館林市方面へ進んでいます。高度経済成長期に、かつては太田市街地を通過していた弦道のバイパスとして建設された経緯がある道路ですが、主要な交通流は熊谷方面から桐生、足利方面へと通過するルートが主流となっているため、このバイパスはそれらの交通需要を受容する受け皿とはなり得ず、国道に直行する県道等に慢性的な渋滞を発生させる遠因となっています。

休泊堀と韮川行政センター

休泊堀と韮川行政センター
太田市台之郷町、2020.5.10撮影)
東武伊勢崎線跨線橋から見た金山

東武伊勢崎線跨線橋から見た金山
太田市東長岡町、2020.5.10撮影)
東長岡交差点付近

東長岡交差点付近
太田市石原町、2020.5.10撮影)
御霊神社

御霊神社
太田市茂木町、2020.5.10撮影)

碓神社を望む

碓神社を望む
太田市茂木町、2020.5.10撮影)
碓神社

碓神社
太田市沖之郷町、2020.5.10撮影)

 東武伊勢崎線を越える跨線橋から南へ、イオンモール太田のある石原南交差点にかけてのエリアは、そうした交通需要のミスマッチの影響を大きく受け続ける部分となっています。東長岡交差点で直行する県道太田佐野線も交差点付近でしばしば渋滞が発生していますが、交差点を外れますと、昔ながらの石原の集落を基礎とした住宅地域が広がっていまして、そこから南東へ、茂木地区にかけて連担した集落景観が続いていきます。集落に接してある太田工業高校から東は、広大な水田地帯が広がります。初夏のこの季節は小麦が一面に歩を揺らしていまして、二毛作をサイクルとして耕作を行ってきた地域文化を今に伝えています。

 そんな水田の只中に、碓神社の杜があって、このエリアのちょっとしたランドマークになっています。神社からは、麦の穂揺れる田園の先にたなびくような金山丘陵を望むことができまして、さながら大海原に浮かぶ島から遠い島影を望むような雰囲気に浸ります。この神社は近傍の沖之郷町の鎮守で、地名にある「沖」の寺の語感も、そうした地理的な隔絶性を存分に滲ませるものであったのかもしれません。そんな茫漠たる沖積地にある島のような沖之郷地区を歩きながら、地域を南へ進みます。渡良瀬川と利根川に挟まれた当地では、これらの河川が氾濫のたびに流路を変え、その影響により多くの小河川が派生し、このエリアを流れて、沖積平野と自然堤防を形成してきたのでしょうか。微高地を指向しつくられた集落と、背後の広大な水田、それこそがこの地域の原風景で、この場所に育った人々に限りない郷愁を与えているのだと改めて実感します。


碓神社から金山・赤城山を望む

碓神社から金山・赤城山を望む
太田市沖之郷町、2020.5.10撮影)
沖之郷地区遠景

沖之郷地区遠景
太田市沖之郷町、2020.5.10撮影)

沖之郷地区の景観

沖之郷地区の景観
太田市沖之郷町、2020.5.10撮影)
八重笠沼の堤の桜並木

八重笠沼の堤の桜並木
太田市八重笠町、2020.5.10撮影)

八重笠沼

八重笠沼
太田市八重笠町、2020.5.10撮影)
龍舞町の風景

龍舞町の風景
太田市龍舞町、2020.5.10撮影)

 国道122号まで来ますと、休泊地区の東の端、すなわち太田市においても東の突端にあたる(沖之郷町の同様ですが)八重笠地区へと至ります。ここには八重笠沼があって、低地と沼沢地とが交錯する、いわゆる水郷地域戸呼ばれるような地域性も垣間見られるようになります。新しく貫通した国道122号のバイパスを経て、休泊地区最大の集落である龍舞地区は台地上に展開する集落です。住宅地と畑地を囲むようにある雑木林は若葉が徐々に生えそろって、新緑の季節へと向かう空気を感じさせていました。な雑木林に囲まれる集落となっていまして、その中に佇むように細谷駅がありました。

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