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関東の諸都市・地域を歩く
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#167 秩父盆地外縁の山々を縦走する ~荒川水系の分水嶺を踏破~ 2019年10月6日、午前7時30分過ぎの長瀞駅前は既に多くの人々で賑わっていました。年1回この時期に開催されている「ロングウォークちちぶ路」の参加者は受付を次々と済ませて、宝登山へとスタートをきっていました。コースは長瀞駅前から宝登山頂へ進んだ後、荒川左岸の分水嶺上の尾根を辿り、寄居駅前まで進むもので、総延長は23キロメートルにも及びます。長距離にわたることから、途中にチェックポイントが設けられており、そのポイントごとにタイムリミットが設定されています。また、体力に応じ途中でもドロップアウトが可能なコース設定となっている(7キロコース、17キロコース、20キロコース)のも特徴です。午前7時34分、宝登山神社の鳥居をくぐり、この長大なトレイルの踏破へ向けてスタートを切りました。
宝登山神社へ向かう車道は、秋の七草寺めぐりでも最初に通過する馴染みのルートです。ロープウェイ駅へ進む道が分かれるロータリーを越え、宝登山神社の境内へ。神社で無事を祈願した後は、宝登山の山頂にある同神社の奥宮へと向かう山道を登り始めます。車両も通過できる道幅の道は山肌をジグザクに進んでいきます。路傍にヨメナが花を咲かせる初秋の早朝、時折見通せる長瀞付近の盆地を仰ぎながら、最初の難関を歩みます。ロープウェイの山頂駅の手前、石段を上った先に鳥居があり、宝登山神社の奥宮へとたどり着きました。まだ青々とした木々の下、小ぢんまりとした祠の先に、標高497.1メートルの宝登山山頂の標識がありました。山頂の東斜面一帯にはロウバイが植栽されていまして、初春の時季には黄色の花がいっぱいにしなやかな芳香を漂わせます。 宝登山山頂からは、来た道とは反対側の方向に降りる山道を辿り、細い車道を東へ少し進んだ後、「長瀞アルプス」と呼ばれる尾根筋の山道へと入ります。長瀞の盆地の西側の山中を歩く山道は、広葉樹の森が主体で、野上駅近くの集落に近づくにつれて人工林の杉林となって、人里に近い里山としての姿も確認できる行程となりました。中野上地区の万福寺近くの第1チェックポイントは午前11までの設定ですが、午前9時30分前までには通過することができました。ここからは再び谷筋を登る県道を経て途中で町道に進んで、さらに山道へ。出牛峠と呼ばれるピークを目指します。やや勾配のきついつづら折れの山道沿いには、石積みの残されていまして、もしかしたら山道の途中まで集落が存在していたのかもしれないと思われました。30分程で到達した出牛峠で二度尾根筋に到達、ここからは波久礼駅近くまでおよそ13キロメートルの本格的な尾根上の林道やトレイルを進む行程となります。
出牛峠からは、陣見山林道と呼ばれる狭い車道を進みます。本庄市域に入ったり、再び長瀞町に入ったりしながら稜線の上の林道はゆるやかに続いていきます。糠掃峠を経てさらに歩きますと、長瀞の盆地が大きく俯瞰できる場所へと行き着きます。この日は薄曇りで遠景は雲の中に霞んでいましたが、晴れていればあるいは秩父方面、武甲山あたりまで望むことができたのかもしれません。再度本庄市内へ入る標識がある先に、標高549.2メートルの不動山へと一気に登る登山道の入口があります。およそ7分ほどの上りで不動山の頂上へ到着し、そこからは稜線を間瀬峠へ辿る形となります。植生は杉林から広葉樹林へと目まぐるしく変わって、それは人間の生活と関わりながら姿を変えていた山の歴史を反映していました。県道が交差する第二チェックポイントである間瀬峠へは急激な下りとなり、11時15分頃までにはそこへたどり着くことができました(時間設定は12時40分まで)。ここに設けられていた給水所で水を頂き、昼の休憩を取りました。 標高510メートルの雨乞山まではまた激しい上り坂です。うっそうとした広葉樹や針葉樹の森の中を、息が切れない程度にゆっくりと歩を進めていきます。雨乞山の山頂付近は木々もなく爽快な草原となっていまして、そこはパラグライダーの発着場となっていました。秩父盆地の北端となる長瀞の谷間の風景が眼下に広がって、山肌を駆け上がる風を受けて、パラグライダーが快い滑空を見せてくれていました。天気が良好であれば、やはりここからも秩父盆地の主要部方面へも視界が利いたことでしょう。雨乞山からは榎峠を経て陣見山、大月峠、そして虎ヶ岡城趾へ、林道を挟み、アップダウンの激しい登山道を歩きます。早朝から歩きっぱなしの終盤に来る高低差は、足にかなりの疲労感をもたらします。陣見山の山頂には電波塔があり、付近のランドマークになっていました。虎ヶ岡城趾は戦国時代の城柵跡で、鉢形城の支城として同城への食料支援などの重要な役割を担っていました。波久礼駅近くで山道を一旦離れ、最後のチェックポイント(午後3時30分まで)を午後2時30分頃に通過し、ダム湖である円良田湖を経て、最後の急階段を上り、五百羅漢の並ぶ参道を下りて少林寺へとたどり着きました。
少林寺からは寄居町の市街地へと入り、ゴールの寄居駅前へ。到着は午後3時50分過ぎ、全体の250番目という到着順でした。秩父盆地外縁の山並みを縦走するコースは27キロメートルという距離と、意外に大きい高低差にかなりの体力を要する行程でした。初秋の山並みは未だ木々の緑は濃いままで、二次林や人工林が混交する里山の風景と、随所に展望できる荒川がつくる盆地の俯瞰が、とても快い道のりでした。 |
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