Japan Regional Explorerトップ > 地域文・近畿地方 > シリーズ京都を歩く・目次
シリーズ京都を歩く
←第十七段のページへ |
第十九段のページへ→ |
||||||||
7.洛北の山里を行く |
|||||||||
第十八段 鞍馬から木の根道へ 寂光院周辺は観光客で相変わらずごった返していました。境内は紅葉がたいへん鮮やかで、その輝いているような燃えるような赤は、訪れる観光客の目をひいて離しませんでした。どこまでものびやかで、豊かな歴史と自然とに彩られる大原の里の中をバス停へと戻ります。春、夏、秋、冬、そしてそれぞれのうちでも時間の変化、天気の変化によってもさまざまに装いを変えていくであろう、大原の姿を想像しながら、散策を楽しみました。京都バスでは、春分の日から11月30日までの日曜祝日に限り、大原と鞍馬の間を往復するバスを3便設定しています。鞍馬までの道のりをウォーキングでカバーする時間もなかったので、午後2時35分発の鞍馬行きのバスを利用することにしました。午後2時を過ぎたにもかかわらず次々と入っては出て行く観光バスや路線バスの波を掻き分けるように、鞍馬行きのバスはゆっくりと出発しました。
バスは叡山電鉄の線路を越えて、鞍馬へ北へと方向を変えていきます。かつて雍州路(ようしゅうじ)と呼ばれた鞍馬街道、京から若狭方面へと抜ける街道筋のひとつであったというルートは、市原の小盆地を抜けて、深い谷筋へと入ります。貴船口を過ぎ、狭い道路を経て、バスは鞍馬寺の門前町へと到着しました。鞍馬寺仁王門の前で緩やかにカーブを描いて進む街道は、さらに山奥へ、花背方面へと続いていきます。大原散策にけっこう時間を割いていたので、仁王門から由岐神社を経て九十九折の参道を向かうことは断念し、ケーブルカーにて山上を目指すことにしました。紅葉の木々が美しい仁王門をくぐり、ケーブルカーの到着を待つ観光バスの客のつくる列に並びました。
鞍馬山は牛若丸、すなわち源義経とのゆかりを持つことは知られていることと思います。牛若丸は幼少期を鞍馬寺で過ごしました。本殿金堂から奥の院へと向かう道程には、背比べ石や義経堂、僧正が谷不動堂など、義経にまつわる伝説が残された史跡が点在しています。僧正が谷は著名な謡曲「鞍馬天狗」とのかかわりを想起する方も多いと思います。牛若丸が天狗僧正坊から武芸を習った場所ですね。周囲は巨大な杉木立が林立する神秘的な雰囲気を漂わせていまして、確かに天狗でも出てきそうな、そんな想像も働くような気もいたします。周辺は木々の根が網の目状に剥き出しになった山道となり、「木の根道」と呼ばれます。岩盤が固く、地下に十分に根を張ることのできない地質であることから、このような奇観が形成されました。 |
|||||||||
←第十七段のページへ |
第十九段のページへ→ |
||||||||
このページのトップへもどる シリーズ京都を歩く目次のページへもどる ホームページのトップへもどる |
|||||||||
(C)YSK(Y.Takada)2003-2007 Ryomo Region,JAPAN |