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シリーズ京都を歩く
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10.洛中洛外・桜花雅散 〜2010年京都桜遊歩〜 |
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第二十六段 名刹・名園の桜を味わう 〜古の芳香、春空へ〜 2010年4月10日、晴れあがった穏やかな早朝の渡月橋からは、朝日にきらめく大堰川の流れを清々しく眺めることができました。昨秋、雨に煙る靄の中、紅葉を眺めた嵐山はさみどりと桜色をやさしくまとった姿へと移り変わっていました。一帯のソメイヨシノやシダレザクラを見やりながら、この日の行程を始めました。日差しをきらきらと返す川面の彼方には比叡山や東山の稜線がくっきりと眺められました。
この日は、京都市街地の桜のある風景を可能な限り歩きつくそうと計画していました。結果、嵐山から始まり北山から洛中、東山そして祇園までをめぐることができました。本シリーズのサブタイトル「洛中洛外・桜花雅散」は、桜が舞い散る京都の風景を思い自作した造語です。「らくちゅうらくがい おうかがさん」とでも読むことにいたします。さて、嵐山からは京福電気鉄道嵐山本線、通称「嵐電(らんでん)」に乗って北山方面へ移動しました。帷子の辻駅で乗り換える北野線では、鳴滝駅と宇多野駅の間の桜並木が有名で、この日も満開の桜のトンネルの下を通過することができました。御室仁和寺駅で下車、眼前の壮大な南大門(二王門)を目指して進みます。
仁和寺といえば、御室桜(おむろざくら)です。京都でも遅咲きの桜としてあまりにも著名です。ソメイヨシノやシダレザクラが見頃を迎える中、中門を入り左手に繁茂する御室桜はまだ2、3分咲きでした。しかしながら、一部には花が多く開いている枝もあって、樹高が低く最盛期には桜の花の海のようにたなびく園地は、五重塔を背景に春の息吹を存分に感じさせました。目の高さにある花に鼻を近づけますと、桜のお香のような芳香がして、創建から現在まで衰微と再興とを経験して門跡寺院(現在は真言宗御室派の総本山)としての格式を感じさせます。国宝の金堂は内裏の紫宸殿が下賜されたもので、そのような仁和寺の歴史を象徴しているかのようです。絵筆でなぞったような雲が水色の空に映えて、御室桜をはじめとした境内の桜をやさしく包み込んでいました。 きぬかけの路(みち)と呼ばれる市道183号衣笠宇多野線を東へ、仁和寺とともに世界遺産「古都京都の文化財」の構成資産のひとつである龍安寺へ。ここでは、庭園を鮮やかに彩る桜に魅了されました。境内南の鏡容池(きょうようち)の周りが美しい回遊式庭園となっており、いっぱいの桜色と、萌える若葉や苔の緑とのコントラストが春の日差しを受けてこれ以上ないきれいなコラボレーションを見せていました。龍安寺といえば、石庭(方丈庭園)です。15個の石が白砂の上に不規則に並べられた石庭を久しぶりに拝観し、枯山水の名園を堪能しました。庭の中央にはシダレザクラが一本あでやかに咲き誇っていまして、ささやかな春の喜びを表現しているかのように感じられました。
穏やかな緑に癒されるきぬかけの路をさらに北東に進んで、昨冬以来の金閣を再訪しました。初冬ののびやかな日差しのもと荘厳に輝きを放っていた金閣舎利殿は、春の陽光を目映いばかりに浴びて、木々の芽吹きが進捗する中にあってもそれらのみずみずしさを俯瞰するような壮麗さが印象的でした。鹿苑寺(金閣寺)の境内には、仁和寺や龍安寺とは違い、桜の木はあまり多くないのが特徴です。金閣のまわりにもほんの数本の桜木が見えるだけです。
衣笠山の山懐に三者三様の春を表現して見せた世界遺産の古刹や名園をめぐった後、西大路を南に下って、洛中の桜を目指し歩を進めました。桜の名所として名高い平野神社へ向かいました。 |
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