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東京優景 〜TOKYO “YUKEI”〜
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#44 東京リレーウォーク(28) 〜目黒川沿いから駒場、渋谷へ〜 (目黒区・渋谷区) 2011年11月3日、川口を訪れていた私は新荒川大橋から東京に入り、赤羽岩淵駅から地下鉄にて目黒に移動、夕刻までの短い間の散策を始めました。この年の2月下旬に目黒駅まで到達していた東京周遊のリスタートを企図したものでした。駅前の繁華な目黒通りを下り、目黒新橋にて目黒川を渡り、その右岸を上流へと辿りました。目黒駅あたりから目黒川までの地形は、目黒川の流域が武蔵野台地を目黒川が切れ込んだ規模の大きい谷底平野であることから、かなりの勾配の坂となっています。交通の難所とされていた急な坂も、現在では多くの車両が軽々と通過し、大小さまざまな建築物群が連なる現代都市の一部となっていて、道行く人々も平然と往来しています。
目黒川は、桜の名所として知られています。両岸には池尻大橋付近から東急目黒線高架下付近までの約3.8キロメートルの区間においてソメイヨシノが植栽され、桜の季節には多くの花見客が訪れるエリアとなっています。川自体は全面護岸工事がなされて都市を流れる人工的な造形を見せていますが、ソメイヨシノが歩道の上を覆い、川に向かって張り出すように枝を伸ばしていまして、そうした無機質な都会の風景をやわらかい情景へと緩和させてくれています。そうした都市と緑とに触れる雰囲気が好感されるためか、川沿いにはカフェや雑貨などの店舗が増えているようです。この日はうす曇りの天候でどんよりとした印象の並木道でしたが、木々の上のほうから徐々に赤く紅葉が始まっていまして、晴れていたならば桜の緑と赤と空の青とのコントラストが美しく、目黒川の川面に映えていたのではないかと思われました。 地域の元の字名が付された田道(でんとう)橋や中里橋、田楽橋など、個性豊かな名前が付けられた橋を通過しながら歩を進めていきます。左岸には目黒清掃工場の煙突が立って、地域のランドマークとなっています。目黒川は戦前、大正期から昭和初期にかけて治水と運河としての利用のために工事が行われ、現在のような直線的な流路を持つようになりました。駒沢通りが川を渡る手前、「船入場(ふないりば)」と通称される一角があります。昭和初期に船を導きいれるために川を切開いて築かれた場所の跡地であるようです。現在では、その元船着き場としての土地を生かして調整池が作られ、その上部は憩いの場として整備されています。氾濫原が狭くたびたび水害を起こしてきたという目黒川も、都市の成長につれてその姿を変える中で、治水の面でもさまざまな対策がなされてきたというわけですね。中目黒駅の手前には目黒川の支流である蛇崩川が合流していて、合流点には「合流点遊び場」が設けられています。駅周辺は区役所が至近に移転してきたことも相まって、地域の中心的な繁華街となっています。近年再開発も進んで、「ナカメアルカス」と呼称される再開発エリアには、超高層マンション「中目黒アトラスタワー」が完成し、新たなランドマークとなっています。
中目黒を過ぎ、山手通りの下を通って大橋ジャンクション付近の首都高下を超えますと、上目黒氷川神社がありました。住所地名は大山道(現在の国道246号に相当)の橋にちなみ「大橋」となりましたが、このあたりは元来上目黒村の範域でした。目黒川の作る谷間を見下ろすように台地上に鎮座する神社も、その谷間を国道246号と首都高速3号線とが目の前を横切って、そうしたのびやかな光景は現在では到底想像できなくなってしまいました。渋谷から道玄坂を通り、三軒茶屋方面へ続いていたこの道筋は「矢倉沢往還」と呼ばれる江戸時代に整備された街道で、特に江戸中期以降は大山への参詣道として利用されたことから「大山道」などとも呼ばれました。 氷川神社からは住宅街を北へ進み、東京大学の駒場キャンパスが広がる駒場エリアへ足を延ばしました。江戸時代には将軍家の鷹狩場が設けらて、その際に馬を止める場所(駒場)であったことが地名の由来とされます。キャンパス内には目黒川の支流の源流をなす「駒場池」も残されていて、田園地帯から一気に都市化が進み大都市地域の一部へと変貌した地域の原風景を垣間見ることができました。駒場エリアを一瞥した後は、山手通りを東へ超えて、道玄坂に出て、渋谷駅前へ到達しこの日の活動を終えました。道玄坂に到達することには日も暮れていましたが、渋谷駅前の喧騒は変わることなく、多くの人々が闊歩していました。 |
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