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関東の諸都市・地域を歩く


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#179 仲冬の寄居の町並み ~谷口集落として栄えた風景~

 2020年12月19日、東武鉄道のウォーキングイベントで昨年に引き続き、この季節に埼玉県寄居を訪れました。この日利用した秩父鉄道線の他、寄居駅には東武東上線とJR八高線も通じています。この事実からも、寄居が近代に至るまで、重要な交通の結節点であったことをうかがい知ることができます。駅北側にある町庁舎の脇を通り、この日の散策をスタートさせました。

寄居町役場

寄居町役場
(寄居町寄居、2020.12.19撮影)
国道140号の風景

国道140号の風景
(寄居町寄居、2020.12.19撮影)
天正寺からの俯瞰風景

天正寺からの俯瞰風景
(寄居町桜沢、2020.12.19撮影)
正龍寺

正龍寺
(寄居町藤田、2020.12.19撮影)
善導寺

善導寺
(寄居町末野、2020.12.19撮影)
少林寺・五百羅漢

少林寺・五百羅漢
(寄居町末野、2020.12.19撮影)

 寄居は、これまで山間の渓谷を形成してきた荒川が初めて山を離れ、平野部へと流れ出る位置に発達した、いわゆる「谷口集落」と呼ばれる町場です。旧市街地は駅の南側に、荒川に沿って街村を構成しています。駅の北方には、その中心市街地を迂回する国道140号のバイパスが東西に貫通して、その沿線が寄居における郊外型の店舗の立地するエリアのひとつとなっています。鐘撞堂山へと登るハイキングルートへとつながる小流にそって町並みを歩いていきますと、高台に境内のある天正寺へ。寄居の十二支寺参りでは、丑寅年の守り本尊である虚空蔵菩薩の寺院にあたります。境内からは寄居の市街地への眺望が開けます。冬の穏やかな青空の下、歴史ある在郷の町場は、冬の日差しをゆるやかに受けていました。

 天正寺からは、鐘撞堂山の南麓をなぞるように、穏やかな集落の中を西へと歩を進めます。東西に貫く国道140号の動脈に、寄居駅を出た秩父鉄道線も寄り添ってきて、平野から谷間へと徐々に狭まる地形を反映した風景が認められるようになります。山麓には、辰巳年の守護本尊である普賢菩薩を祀る正龍寺、子年の守護本尊である千手菩薩を祀る善導寺と、地域にあって古くから信仰を集めてきた寺院が点在します。それらの堂宇が赤く染まった山並みに溶け込むようにある光景は、谷口にある町場としての寄居の原風景が凝縮されたものであるようにも感じられます。末野交差点から北へ、山裾を少し分け入った場所には、少林寺。卯年の守護本尊・文殊菩薩を祀る寺院は、まさに山の只中にあって、境内裏の山道を辿れば、五百羅漢の石仏を訪ねながら、釈迦牟尼仏を拝観することができることでも知られます。

放光院

放光院
(寄居町寄居、2020.12.19撮影)
浄心寺

浄心寺
(寄居町寄居、2020.12.19撮影)
寄居の町並み

寄居の町並み
(寄居町寄居、2020.12.19撮影)
正樹院

正樹院
(寄居町寄居、2020.12.19撮影)
西念寺

西念寺
(寄居町寄居、2020.12.19撮影)
寄居駅構内

寄居駅構内(左(北)から、八高線・秩父鉄道線・東武東上線)
(寄居町寄居、2020.12.19撮影)

 市街地北側の山並みに抱かれた寺院を参詣した後は、国道140号を横断して南側の、寄居の本来の市街地へと進んでいきます。荒川左岸に沿うように発達した町並みは、この町が、荒川上流域の秩父エリアを束ねるいわば扇の要として存立してきた歴史を今に伝えているように感じられます。旧街道筋の南北に、町場の中に十二支本尊を祀る寺院が存在しています。西から順に、午年の守護本尊・勢至菩薩を祀る放光院、道路を挟んだ南に小さな庵のある酉年の守護本尊・不動明王のある浄心寺、そして再び北へ渡って未申年の守護本尊・大日如来の正樹院、さらに天沼陸橋をくぐった先にある、戌亥年の守護本尊・阿弥陀如来の西念寺と、順に詣でました。

 現在でも、中規模の都市とほぼ同程度の都市機能を維持する寄居の礎たる市街地と、後背地の豊かな歴史の刻まれた風景とを改めて彷徨して、穏やかな冬の一日は過ぎていきました。


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