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シリーズ京都を歩く
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6.東山から伏見・宇治へ |
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第十六段 宇治散策
宇治橋からたおやかに眺める宇治の風景は、どこまでもあざやかで、繊細な要素に包まれているように感じられました。646(大化2)年に初めて架けられたというわが国でも最も古い歴史を持つ橋のひとつである宇治橋。天災などによって幾たびも流されたり破損したりしてきた橋は、その都度架け替えられて、1996(平成8)年に完成した現在の橋につながるまでの歴史を歩んできました。袂に寄れる柳の木の向こうに、木製の高欄と擬宝珠があしらわれた現代の橋が美しいラインを作り出していました。古碑「宇治橋断碑」で知られる“橋寺”放生院常光寺の門前を過ぎ、川の右岸に沿っておだやかな町並みのなかの散策路を進みました。
さわらびの道を歩みますと、都市機能的には閑静な住宅街が展開しています。その風景の中にわが国最古の神社建築としてその拝殿と本殿が国宝に指定されているとともに、世界文化遺産「古都京都の文化財」の1つに含められる古社「宇治上神社」や、末多武利(またふり)神社などの史蹟もたたずんでいまして、宇治の歴史を濃厚に感じさせる風情もまた随所に散りばめられています。緑の中に沈み行くような「琴坂」の先に鎮座する興聖寺をめぐりながら、水が溢れんばかりに流れ下る宇治川の河畔をゆったりと歩きました。のびやかな稜線にみずみずしい緑の木々に抱かれた宇治川の見える風景は、彼方の森に隠れるようにある保養地群の建物の表情とあいまって、宇治が京の人々にとって身近にくつろぎと和やかさを感じるのことのできる場所であったことが改めて実感として理解されるような気がいたします。
平等院を後にして参道を歩き、再び宇治橋の袂まで戻ります。橋の南詰めはちょっとしたオープンスペースがありまして、源氏物語の最終帖の名前にちなみ、「夢浮橋ひろば」と命名されているようでした。説明版の傍らには巻物を手にする紫式部像が設置されていました。ここまで歩んできまして、ふと宇治川の流れる岸辺周辺のみならず、宇治市街地の町並みにとっても、宇治周辺の丘陵-朝日山など-はたいへん重要な借景となっているなと気づかされました。宇治の市街地は宇治橋から南西へ「宇治橋通り商店街」として連接していきます。通過する自家用車も多いものの、JR宇治駅側に後に貫通したと思われるバイパス的な市道があることから、若干は渋滞が緩和されているようです。 |
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